マンハッタン殺人ミステリー(ウディ・アレン)
ウディ・アレンの最高傑作かもしれない。いや、ウディ・アレンの最も面白い作品を傑作と呼ぶのは誤りである。なぜなら、ただひたすら面白いウディ・アレン映画とは、ウディ・アレンとダイアン・キートンの掛け合いが面白いだけで成り立っている映画のことだからだ。
そう言い切ってしまいたい。たとえ、部屋の構造を生かした手持ちカメラによる空気の変化の描写の正確さ、または無謀なズームアップによる明確な主題づくり、そして完璧なタイミングで挿入される『sing sing sing』、オープニングから炸裂するアレンのニューヨーク愛、そしてこれがリマリッジコメディに属することも、ウェルズの作品が引用(剽窃?)されていることも、男女の間に変な奴(アレン作品常連のアラン・アルダ)が現れ、そしていくつかの問題は放置されたまま終わる(レストランはどうなった?)ことが示す古典への目配せがあろうとも全て、ウディ・アレンとダイアン・キートンの掛け合いという名人芸のために己をささげている。
『赤ちゃん教育』の男女の30年後を見ているのだ。
[注:ツタヤにはミステリーの棚に置かれていることがありすが、探偵小説ファンとしては…、そのトリックは駄目かと
玉田
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