2011-01-01から1年間の記事一覧

『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

説明描写を必要最低限にしぼり、観客に疑問を与える暇もないスピードで、あれよあれよという間にアクションを走らせることによって映画全編に爽快感をみなぎらせていた前作『M:I:Ⅲ』がまああれだけの出来映えだったのですから(敵のボスであるフィリップ・シ…

『都会のアリス』(ヴィム・ヴェンダース)

フィリップはどうも直線的に動くのが苦手な人のようで、特に言葉をまっすぐ、屈折なく相手に伝えることに、時折の困難を感じており、たとえば、アリスの母親に通訳を頼まれると、今まで話せていたはずの英語につまり、どもり、順々に発しなければいけない音…

Barcelona en tranvía (Ricardo de BANOS,1908)

人間、カメラが見えるとはしゃぎだすのはどこでもいつでも同じなようだ。 カメラと同時に電車とも戯れる好奇心旺盛で勇気の有り余る人々をご覧あれ!見てるこっちはヒヤヒヤものですが、いたって皆さん楽しそう。列車恐怖症からのスリル!ですね。といいつつ…

『ザ・ウォード/監禁病棟』(ジョン・カーペンター)

ネタばれ必至ですが...。多重人格障害の主人公の葛藤を、それこそそれぞれの人物の、目に見えた形でのぶつかり合いによるアクション映画として成立させてしまうところが素晴らしい。しかも最初5人の女の子が一堂に介してからまだ話がよく掴めないけど一人ず…

『スクリーム4』(ウェス・クレイヴン)

冒頭、「何のホラー映画見ようか?」とか相談している女の子二人のうちの会話が切り返しで捉えられる。その際、キッチンの側にいる女の子を写した画面で彼女の傍らにはナイフがしまっている台があり、その不気味さが一瞬私たちを不安にさせる。しかしすぐさ…

『ザ・ファイター』(デヴィッド・O・ラッセル)

最高!最高!最高!ととりあえず芸もなく連呼しちゃうんですが、実際どう見たって最高なんだからしょうがないでしょう。 まず役者陣の顔つきがたまらない。マーク・ウォルバークの出す甲高い声もハマってるし、とかく映画を重くしがちであんま好きじゃないク…

『風と共に散る』(ダグラス・サーク、1956)

「メロドラマ」という言葉がその内に孕むどこか楽天的なイメージほど本作からかけ離れたものは無い。メロドラマの巨匠ダグラス・サークが撮った本作において描かれるのは徹底してすれ違う人間の有様である。石油会社のミッチ(ロック・ハドソン)とその親友…

ノッティングヒルの恋人(ロジャー・ミッチェル、1999)

ほんとに細かい映画で、主役の二人より、脇役であるはずのベラとマックスの夫婦が画面の中心に据えられて、マックスが涙するベラを優しく見つめる誕生日パーティーのシーンでは幸福と機知と優しさがテーブルを円状に囲む各々が各々と交わすまなざしと会話に…

Tigre reale(ジョヴァンニ・パストローネ、1916)

女性の体の動きがやばいことになっている。ラストに近づくと、軟体動物のように反り返ったりする。 移動撮影で有名なパストローネの中でも特に有名らしい、劇場内の移動撮影は、『忘れじの面影』の遊園地の列車の窓の外の描かれた風景と同じくらい、背景に大…

Rescued by Rover(Cecil Milton Hepworth,1905)

『サンライズ』、『赤ちゃん教育』、そして『新婚道中記』などの「犬が凄い」映画の系譜があるとしたら、これもその最初期の一つだと思う。誘拐された赤ちゃんを助けに、家の窓から飛び出ていくローヴァ―、人いない道を走り抜けるローヴァ―、角を曲がるロー…

『群衆』(キング・ヴィダー、1928)

大物になる夢と自信を抱いてニューヨークに来た一人の男が、結局は群衆に呑みこまれて行く様を描いた作品とされているけれども、最後のトラックバックは決してこの男のアンハッピーエンディングではない。というより、この男の、全体を通して見れば決して幸…

SWORDS & HEARTS (D.W.グリフィス,1911)

馬のスピード速い!馬なんて乗りなれてないであろう女性が乗ってるっていう設定なはずだが、そんなことはお構いなしに疾走する馬。かと思うと、女性も馬を華麗にターンさせ、追っ手に銃弾を浴びせるあたり、潔い映画。砂埃と銃から出る煙、そして火事の黒煙…

『気弱な二人』(ルネ・クレール、1928)

ルネ・クレール最後のサイレント映画。ほんと面白い。伏線を回収する時の鮮やかさは、感涙もの。伏線張ってあったんだぞ、すごいだろ、えっ?みたいな押しつけがましさ一切なし!ルネ・クレールに言わせてみれば、映画は極めて精巧につくられた時計であって…

The Three Must-Get-Theres (マックス・ランデ、1922)

一つ一つのネタというかギャグがめちゃくちゃ面白い。ところどころぶっ飛んだネタが入ってきたり、小ネタで楽しませてくれたりするし、人物の表情がまず面白いし、アクションも凄いとくれば、ランデはチャップリンとの関連を言われるけど、キートンに近い。…

BUCKING BROADWAY(ジョン・フォード,1917)

アメリカはやっぱ広いなー、土地余ってるなー。出だしから画面の奥行きが凄いことになっていて、馬鹿らしい疑問だけど携帯電話もない時代、どうやって指示出したのか?ラッパかなぁ。カメラから谷を越えた向こう側に役者がいたりする。(その割には、ワイオ…

Baden verboten (Johann SCHWARZER,1906)

オーストリアにルノワール『草の上の昼食』の湖の源泉を発見!と言いたくなるような映画。1分7秒ながら十分に楽しめる。水と女性に目を奪われていると、画面奥の森から警官がやって来るあたり、なんだか夢のよう。で、女性はカメラの方に了解をとってから岸…

Les Surprises de l'amour - Comique Fou rire (マックス・ランデ、1909)

なんてことない話だけど、面白い。画面左へ出ていき、次のショットで左から出てくるというなかなか今じゃないものも見れます。が、それよりなにより、ピアノの中に隠れると痛い目にあうようで…。この家のメイドは、ほぼ窓の外監視係。玉田

『四人の息子』(ジョン・フォード,1928)

泣いた、泣いた、もう、むり。90分あったら、最近泣いてなかったら、郵便局に内定が決まったら、今すぐ早稲田大学中央図書館4FのAVルームへ。玉田