『気弱な二人』(ルネ・クレール、1928)

ルネ・クレール最後のサイレント映画。ほんと面白い。伏線を回収する時の鮮やかさは、感涙もの。伏線張ってあったんだぞ、すごいだろ、えっ?みたいな押しつけがましさ一切なし!ルネ・クレールに言わせてみれば、映画は極めて精巧につくられた時計であって、確かにその機械の動きは一見すごいけれども、実際には物理法則にのみ従って動いているのだから、当たり前の動きをしているに過ぎず、誇るところなど別にないという感じでしょうか?つまり、この映画は伏線回収に関して自分が凄いことをしているなんて微塵も思ってないし、目指していないところが良い。ただひたすら駆動するのみ。その上爆笑ものなんだから貴重な作品でしょう。