Rescued by Rover(Cecil Milton Hepworth,1905)

サンライズ』、『赤ちゃん教育』、そして『新婚道中記』などの「犬が凄い」映画の系譜があるとしたら、これもその最初期の一つだと思う。

誘拐された赤ちゃんを助けに、家の窓から飛び出ていくローヴァ―、人いない道を走り抜けるローヴァ―、角を曲がるローヴァ―、小川を犬かきで泳ぐローヴァ―、犯人が潜む集合住宅のドアを一つ一つ開けていくローヴァ―。赤ちゃんを発見した後、全く同じ場所を通って飼い主に知らせに戻っていく。往路と全く同じ場所にカメラを構えてローヴァ―を捉える。生真面目で律儀な反復。そして、赤ちゃんの父親を連れて犯人の家に戻る時も、全く前回と同じ反復。途中小川で父親が面白みなくもたもたして見てる方はいらいらするするのだが、3度の律儀な反復と相まった、このもたもた感へのいらいら感のこそ、誘拐された赤ちゃんの救出を待ち望む母親と同じかと思うといつの間にやら1905年の作品に感情移入みたいなことに。