Tigre reale(ジョヴァンニ・パストローネ、1916)

女性の体の動きがやばいことになっている。ラストに近づくと、軟体動物のように反り返ったりする。
移動撮影で有名なパストローネの中でも特に有名らしい、劇場内の移動撮影は、『忘れじの面影』の遊園地の列車の窓の外の描かれた風景と同じくらい、背景に大きな変化を生んでいてとっても面白い。他にも人物にぐぅーっとゆっくり寄っていくとき思わず映画に引きこまれる。

女性の気性が激しい。回想シーンを除けば一葉の『うつせみ』やら『にごりえ』みたいな支離滅裂さがある。これ愛なのか狂気なのかさっぱりわからん。この物語の唐突さと、それを観客に納得させる顔のクロースアップ、そして要所を作る緩やかな移動撮影の組み合わせが緊張感を保ち続ける。気性が激しすぎて、逆にただ玄関入って来て廊下をカメラに向かって歩く何でもない動きがなぜだか記憶に残っている。

いや、なにより、繰り返すけど、これ愛なのか狂気なのかさっぱりわからん。

あ、火事すごい。